住宅が立ち並ぶ姫路市飾磨区。ここで2024年7月にオープンしたSALSA curryを営むのは、書家としても活動する長田幸次郎さん。もともとこの場所では、贈り物用の書作品を手がける「書き下ろし館」を営んでいた。


そのスペースを活用し、かねて抱いていた食への思いを形にしようと、カレー店を始めたという。
長田さんの食への原点は、12歳の時に訪れた米・アイダホ州での記憶にある。短期留学中、ホストファミリーとキャンピングカーで旅をした際、手作りのタコスを食べた。「ずっとそれだけ食べたいと思うくらいおいしかった」。当時の日本ではタコスは今ほど身近ではなく、名前も分からないまま帰国したが、その味だけはずっと記憶に残り続けた。
再会は11年後。23歳の時、沖縄・糸満でドキュメンタリー映画の撮影に関わっていた際、近くの商店でタコライスを食べた。「これ、アイダホで食べたことがある味や」。その瞬間、記憶の中の味がスパイスやサルサにつながった。

看板メニューの「サルサカレー」(1,200円)は、トマト、玉ねぎ、ピーマンを合わせた「赤、白、緑」。メキシコの国旗を思わせる「サルサ・メヒカーナ」が、皿に爽やかな彩りを添える。サルサ・メヒカーナにスパイスカレーを合わせた一皿だ。クミンやパプリカ、コリアンダーなどを合わせることもあるが、スパイスはシンプル。素材の味を生かし、カレーにサラダを乗せるような感覚で仕上げている。「ほかのカレー屋さんのようなスパイスカレーを作りたいというより、米国で食べたタコスの感動を味わってほしい」と長田さんは語る。

ライスにもひと工夫が。ターメリックライスは、うるち米とタイ米をブレンドし、クミン、ターメリック、油、塩を加えて炊く。ほかにも、玄米と小豆を炊き、数日寝かせた酵素玄米も用意。玄米特有の硬さを和らげ、もちっとした食感で食べやすくしているという。
書家として20年活動を続けた。次の20年を考えたとき、真っ先に頭に浮かんだのは「食」だった。「生まれ変わったら料理人になりたいと言っていたけど、生まれ変わってからでは遅いと思った」。長田さんにとって、カレーは食べる楽しさを伝えるための手段でもある。

「食べることの楽しさとか、喜びを感じてほしい。カレーはツールとして使わせてもらっています」。12歳で出会ったタコスの記憶は、今、カレーの上にサルサ・メヒカーナとして乗っている。サルサカレーは、長田さんの次の20年の始まりの一皿だ。
2026年7月10日(金)現在の情報です。
お店の方からのメッセージ
カレーは、食べる楽しさを伝えるためのコミュニケーションの一つだと思っています。サルサとスパイスの組み合わせを楽しんでほしいです。

ライターから一言
お皿に盛られたカレーを見た瞬間、色鮮やかなカレーに心が踊った。写真映えすること間違いなし。目にも美しい一皿を、サルサの爽やかな味わいとともに楽しんで。