駅からすぐ、赤いのぼりが目印のコロッケ店。店主の河井志津子さんは今年90歳。結婚後、今のお店の隣にあった精肉店で65年前から揚げ物を担当し、人気のあまりコロッケ店が独立した後も改良を加えながら手づくりのやさしい味を守り続けてきた。
頼りになる相棒が息子の妻である由紀子さんだ。家族としてお店を手伝うようになり約30年、明るく元気な接客で河井コロッケを盛り立ててきた。


コロッケの材料は、じゃがいも、国産牛すじ肉のミンチ、玉ねぎ、塩、三温糖と極めてシンプル。今も店主が早朝から時間をかけて一つひとつ仕込んでいる。
特徴は、大ぶりのメークインを主役に据えたじゃがいも本来の素朴な味わい。調味料も最小限なので、食べ飽きることがない。母の味を共に支える娘の勢津子さんは「離乳食に使ったというお客さんもいましたよ」と笑顔を見せる。

1個130円のコロッケは、ぽってり分厚くボリューム満点。「お母さんのコロッケは昔から大きくて。一つでお腹いっぱいになるんです」と勢津子さん。 作り置きはせず、注文を受けてから揚げてくれるからいつでもアツアツ。揚げ油にはラードを加えて、香ばしさとコクをプラスしている。コロッケを油に滑り込ませると、シュワッと白い泡が弾ける。店内が食欲をそそる香ばしい音と匂いで満たされていく。


コロッケのほかに、ローストンカツ(小ロース 360円~)とチキンカツ(360円)もスタンバイ。どちらも注文を受けてから衣をつけて揚げていて、作りたてのおいしさが味わえる。


前身の「河井精肉店」の時代からこの地で100年以上、町の歩みを見守っている。だからこそ、久しぶりに帰省したお客さんから「あぁ、まだ続けてくれてたんや!」と喜ばれることもあるそう。
取材日も開店直後からお客さんが続々とやって来て、お昼前には行列が。
「お母さん、元気やった?」と志津子さんに声をかける常連さんも。しばらく来ないと無性にここのコロッケが食べたくなるのだとか。


お客さんと言葉を交わしたり、小さい頃から来ていた子が大人になっても買いに来てくれたりするのがうれしいという志津子さん。地域のボランティア活動にも積極的に参加する由紀子さんは、弾ける笑顔とフレンドリーなおしゃべりでお店を明るく灯している。
2人が長年切り盛りしてきた店に仲間入りした勢津子さんも今やなくてはならない存在。息の合った3人の連携で、今日も自慢のコロッケが次々と揚がっている。
2026年7月10日(金)現在の情報です。
お店の方からのメッセージ
コロッケ一つからどうぞ。昔ながらの家庭の味ですが、余計なものを入れず丁寧に作っています。


ライターから一言
地元の人に長年親しまれる一方、うわさを聞いて遠くから買いに来る人も多いというのも納得。揚げたてのコロッケを手に食べ歩きを楽しむのもおすすめです。