店主の舘さんは結婚を機にご主人の勤務先である網干へ移住した。子どもたちが小学生となり子育てが少し落ち着いた頃、自身でも何かをやりたいという思いが膨らんでいく。
もともと高校時代からカフェめぐりが好きで、京都や神戸まで足をのばしていた。時間を忘れて心からくつろげる個人経営の喫茶店に惹かれていたという。


転機となったのは、毎年3月に開催される「町家の日in 姫路」。築320年の「旧龍野藩大庄屋片岡家の米蔵」にひと目ぼれし、カフェを開きたいと決意。建物は昭和の時代にカメラ店だったが、その後は長い間空き家状態になっていた。積もり積もったほこりで木目が見えないほどだったところを1人で清掃。眠っていた調度品とその歴史を丸ごと生かそうと長持をテーブルに仕立てるなどの工夫を凝らし、麻の布で手作りしたのれんを掲げて2023年9月のオープンにこぎつけた。

一人で切り盛りしているためメニューを厳選している。看板は「カレー」。
子育てを通じて、食の安全と環境保護に注目するようになり、食材はなるべく地産地消のものを使っている。そうすることで、生産者とのつながりのきっかけになればという思いもある。
米は兵庫県産、具材は淡路島産減農薬タマネギに国産鶏のムネ肉。ニンニクとショウガをベースにクミンシードとナツメグ、ガラムマサラをプラス。イタリア産のオーガニックトマト缶が酸味を醸し出し、隠し味にミルクを加える。スパイスカレーと家庭のカレーライスの中間くらいのとろみがある、マイルドなカレー。箸休めにちょうどいい、季節の野菜のピクルスがセットになっている。この日はキュウリとカブ。ほどよい甘みでやさしい美味しさだった。

デザートは「パウンドケーキ」。100%兵庫県産の小麦と北海道産バター、ミネラルや糖蜜を含みながらクセが強くない粗製糖、実際に養蜂家さんを訪ねたこともある熊本県天草産のニホンミツバチのハチミツを使って焼き上げる。しっかりとつまった生地からバターが香り、食感はしっとりとしていて素朴な味わいがある。


ドリンクでは「コーヒー」がおすすめ。環境保護と社会的責任、経済的持続可能性の基準を満たした農園で栽培された、RA認証を受けた豆を使用。姫路市余部区にあるLua Nova(ルア ノーヴァ)さんから仕入れたG1のマンデリンとエチオピアを店内でブレンド。ネルドリップで淹れている。苦味と酸味がほどよく、豊かな香りが楽しめる。


店内はゆったりとした時間が流れる。テーブルとカウンター、奥には座敷があり、入ってすぐの小さな黒板には近所の子どもが描いたかわいいイラストが。テーブルや各所に配された生花は、近所に住む常連さんが届けてくれたそう。
近隣の人たちのやすらぎの場としてはもちろん、遠方から足を運んでくれるお客さまがおだやかな時間を満喫する場として、今日も温かくお迎えしている。
※2026年6月11日(木)時点の情報です
お店の方からのメッセージ
子どもも大人も安心して食べられる、中身がはっきりとわかった材料で手作りしています。
お好みのスペースでゆっくりとお過ごしください。


ライターから一言
子ども用の特別メニューはありませんが、ご相談を。「葉とらずリンゴジュース」(400円)はおすすめ。無添加でジュース1リットルにリンゴ6個が使われたナチュラルな味わいです。