しとしとと降り続く雨。梅雨真っただ中のこの時期は、お出かけ先に悩んでしまう人も多いのではないだろうか。そんな季節でも、リフレッシュできる場所は案外身近にある。
今回紹介するのは、西二見駅から徒歩3分ほどの場所にある「明石市立二見図書館(愛称・ふたみん)」。イトーヨーカドー明石店内に併設されている図書館とあって利便性も良く、多くの利用者が訪れている。子どもからお年寄りまで、全ての世代に寄り添う、くつろぎの空間。

情報発信明石タワーには、団体や周辺施設のお知らせが貼られ、反対側には市民から寄贈された本が並ぶ。このコーナーは「みんなでつくるおすすめ文庫」として設けられ、展示期間が過ぎると本を持ち帰ることもできる。

二見図書館は「誰もが買い物ついでに気軽に立ち寄りたくなる場所」をコンセプトに、2025年4月にオープンした。図書館といえば静かな場所を想像しがちだが、ここではおしゃべりOK、どこで勉強してもOK。ルールがとても柔軟で誰もが多様な過ごし方ができる、家のリビングのようにくつろげる場所になっている。館内のローチェアなどの椅子も自由に動かしてよいという。
「椅子の配置を動かすなど、毎日目に映る風景が変わる図書館です」と同館業務責任者の助代隆志(すけだい・たかし)さんは話す。

図書館には珍しく、大学受験用の過去問題集や参考書も並ぶ。受験を終えた子どもの保護者が寄贈してくれるそうで、持ち帰りも自由だという。助代さんは「ここの本棚が空になることはないです。持って帰られても寄贈書が集まりますし、受験生の方から『合格しました』という報告をもらうこともあります」と笑顔で話す。パーティションで仕切られた個人席も予約不要で、友だちと横並びで使えるとあって学生たちにも人気。

ここでは、親子で本を一緒に楽しめるよう、上段には大人向けの本を、子どもが見やすい下段には児童書を並べている。優しい心配りがここにもある。子ども向けコーナーを訪れにくい大人も、これなら気軽に児童書を手に取ることができる。


館内の中央に置かれた掲示板に、ふと目が留まる。まるで昔の駅の改札前に置かれていた掲示板をほうふつとさせる。その名も「交流伝言板」。
質問を書き込むと、図書館の利用者や職員が回答してくれる仕組みになっている。新学期の時期には、学校の勉強や友達関係、恋愛のこと、子育てのことなど、多種多様な悩みが寄せられるという。
顔も分からない者同士の交流だが、質問と回答の一つひとつから人のぬくもりが感じられた。

館内を探索していると、写真撮影用の背景布が貼られ、何やら撮影の準備中だった。準備中のスタッフに話を聞くと、同じショッピングセンター内にある「アカチャンホンポ」による『1歳のおたんじょうび会』を開催するという。「これも当館の連携事業の一環です」と助代さん。図書館職員による赤ちゃん向けの本の読み聞かせも開催しているという。
ほかの店舗とコラボすることで、図書館を知ってもらい、来てもらうきっかけにする。そして、近くの店舗を知るきっかけにもなるという。ほかにも、近くの書店「くまざわ書店」とコラボし、司書と書店員のおすすめ本を掲示するなど、工夫が盛りだくさん。ここにも、本を身近に感じられる仕掛けがある。

静かで、どこか緊張してしまうイメージの図書館。二見図書館は、そんなイメージを覆すほど、全ての人に優しい気配りがされていた。「ここをきっかけに本に慣れ親しんでもらえれば。本を借りる、勉強する、イベントに来るなど、色んな使い方ができます。ふらっと遊びに来てください」と助代さんは話す。

本を読むだけが図書館ではない。人との交流が生まれる場所にもなっている。雨の日だけではなく、晴れた日にも訪れたくなる場所の一つだ。


※2026年6月3日時点の情報です

ライターから一言
個人から団体まで、館内のスペースを無料でイベント利用できるので、市民主催で読み聞かせ会や音楽ライブ、付近の高校の学生がイベントを行っているそう。自由に演奏がOKな初代館長寄贈のピアノが置いてあったり「本を借りる場所」という枠を超えて、人と人が自然につながる地域の拠点になっているのが魅力です。新しい図書館のあり方を感じました!