昭和21年、戦後復興でにぎわいを見せ始めた今の板宿本通商店街に店を構えた。
「店の前を通るだけで日本の四季を感じ、伝統の行事を伝えていくことも和菓子屋の仕事。祖父の代からコツコツ続けてきたことです」と3代目社長 佐野幸弘さん。地域に根ざした和菓子店は、今年でちょうど創業80年を迎える。


3代にわたって通うお客さまも多い。「厳選した最高品質の素材を用いて作った、美味しいお菓子で喜んでもらいたい」。昨今の物価高に頭を悩ませながらもこだわりの材料を変えることなく使い続け、素材の良さを生かして丁寧に作ることを大切にしている。「それに何か一つでも変えると、長年のお客さまにはわかっちゃうんですよね」と笑顔で話す。
入社14年目を迎えた和菓子職人の清浦静さんも活躍する。
「細かい作業が得意。特に上生菓子(練り切り)は職人の指の太さで変わってきますが、繊細な作業に向く細い指だからできる表現を大切にしています」と清浦さん。伝統的な和菓子のこうでなければならないという形にとらわれず、デザインも味も新しい、現代の和菓子作りに挑戦し続ける。
「これからも自分の感性を信じて、私たちを楽しませてほしい」と佐野さんも大きな期待を寄せる。

(左から)パイン、いちご、メロン、オレンジ
清浦さんが手がける生のフルーツと和の素材・葛からできたアイスキャンディ。
フルーツのジューシーさと葛のもちもち感が絶妙なハーモニーを生み出し、爽やかでやさしい後味が特に暑い季節には心地よい。フルーツの代わりに神戸ワインを使った「神戸サングリア」も人気。乳・卵・小麦を使っていないのでアレルギーが心配な方にもおすすめ。

神戸くりーむ大福「ら・かすた」は、佐野さんのシュークリーム好きから生まれたお餅。口に入れるとふわっとクリームの甘さと柔らかい餅が広がり、あっという間にとろけてしまう。カスタードクリームの「くりーむ大福」と「まっちゃ小倉くりーむ大福」「苺くりーむ大福」の3つの味が楽しめる。

神戸セレクションにも選ばれた、明月庵本舗を代表する焼き菓子「明月まんじゅう」。職人の丁寧な仕事から生まれる餡と生地の素朴な味わいは、創業当時から変わらない自慢の味。こし餡と黄身餡の2種類があり、幅広い年代に親しまれている。
7月31日(金)現在の情報です。
お店の方からのメッセージ
創業以来80年、地元板宿の方々に支えられてきました。幼稚園で和菓子教室を開いたり、高齢の方のお集まりなどに配達へ行ったり、老若男女問わず明月庵の和菓子がいつも皆さんに近い存在であればと願います。これからも変わらず、安全・安心な和菓子を手づくりしてまいります。


ライターから一言
取材中も客足が途切れず、大福などの上生菓子も朝生菓子も次々と買い求められていきました。長年地域で愛されてきた職人の技と温かみにあふれたお店です。